世界を動かすものは常に悪党たちであり、悪人の論理、悪党の戦略哲学を知らずして、国際的な活動はできない。中世の軍記物に「河内に楠木という悪党ありて」と述べているが、足利尊氏を相手に健闘した楠木正成は、当時としては珍しいほどの戦略哲学を持った「したたか者」であったので、東国の武士団を相手にあれだけの活躍ができたのである。そして討死する時も、「罪業深き悪念なれども、七度人間に生まれ変わって朝敵を滅さむ」といい残し、自己の正統性を後世の大衆に浸透させるだけの心理工作まで残していった。(『悪の論理 ゲオポリティク(地政学)とは何か倉前盛通〈くらまえ・もりみち〉)
 意識は、現在でも多くの分野で最大の謎の一つとされている。なぜ、そしていかなる仕組みを通じて客観的な存在たる灰色の脳から、主観的で多彩な個人的経験が生じるのだろうか? オーストラリア出身の現代の哲学者デイヴィッド・チャーマーズ(1996)は、この問いを「ハードプロブレム」と呼ぶ。事実、この問いに答えるのは非常に困難だ。(『脳はいかに意識をつくるのか 脳の異常から心の謎に迫る』ゲオルク・ノルトフ:高橋洋訳)
 これまで江戸時代のいわゆる鎖国は、日本の閉じこもり型政策としてネガティブに評価されてきた。しかし鎖国にいたる歴史展開をみれば、強大な軍事力を有していたがゆえにヨーロッパ列強をも日本主導の管理貿易下におくことができた、ということが明瞭に浮かび上がってくる。弱くて臆病だから鎖国、ではなく、強かったから貿易統制や入国管理を可能にしたのであった。それが、のちに鎖国と呼ばれた体制であった。つまり、強かったから鎖国、なのである。(『戦国日本と大航海時代 秀吉・家康・政宗の外交戦略』平川新〈ひらかわ・あらた〉)
 たとえばビタミンAは、妊娠初期に過剰摂取すると催奇形性(奇形を生じさせる性質)があるといわれていますが、どのくらいの人がこのことを知っているでしょうか。
 これらの警告はサプリには表示されていません。
(『病気になるサプリ 危険な健康食品』左巻健男〈さまき・たけお〉)
 血糖値が上昇すると糖によって血管内皮が傷つけられ、これを食事のたびに繰り返すことで、動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。また、毛細血管にもさまざまな害を与え、神経障害や腎機能の低下、網膜症といった申告な合併症を引き起こします。これが糖尿病のこわいところです。(『糖質制限食に役立つ糖質量ハンドブック』大柳珠美監修)

糖質制限
 1940年は東南アジアにおける平和の最後の年であった。だがそれは植民地支配によるイギリス・オランダ・フランス・アメリカの平和であった。この地域の1億5000万近い住民のうちわずかに10パーセント、つまりシャム(前年にタイという古い国名にもう一度改称)の住民だけが外国の支配をまぬがれていたに過ぎない。東南アジアの他の地域ではどこでも現地人の主権は廃されていた。欧米の拡張の過程で土着の諸国は一掃されて、直接の植民地支配下に置かれるか、主権を剥奪されて植民帝国の最高権威に従属させられていた。こうして大英帝国はビルマ、マラヤと英領ボルネオの三つの領域に対して責任を負い、フランスは、行政的にはインドシナ連合に統合されたヴェトナム、ラオス諸州およびカンボジアを支配し、当時は東インドの名で知られた広大なインドネシア群島はオランダに支配され、フィリピンはアメリカに従属していた。最後にまた、ポルトガルがティモールの半分を領有していた。(『東南アジア現代史 植民地・戦争・独立』ヤン・M・プルヴィーア:長井信一監訳)
 フランスの場合、1789年にはじまる大革命以降、カトリック教会の検閲からしだいに開放されてゆく知の営みのなかで、はじめて「信仰」の語彙ではなく、「文明論」あるいは「学問」の語彙により、自由に諸宗教を語ることが可能になった。(『ヨーロッパ文明批判序説 植民地・共和国・オリエンタリズム』工藤庸子〈くどう・ようこ〉)
【納税額】2004年(平成16年)

 池田大作創価学会名誉会長 1億2896万円
 大形市太郎霊友会元会長 1822万円
 大川隆法幸福の科学総裁 1億4997万円
 大川きょう子幸福実現党元党首 1668万円
 庭野日鑛(にちこう)立正佼成会会長 1124万円
 中山善司天理教真柱 3173万円

(『「新宗教」興亡史 生き馬の目を抜く巨大宗教ビジネス戦争!』別冊宝島)
 ある研究で、体を柔軟にすれば血管もやわらかくなることがわかりました。
 その秘密は血管壁内のコラーゲン。高血糖や加齢によってコラーゲンは硬くなり、動脈硬化の原因になりますが、ストレッチをすることで新しいコラーゲンが生み出されます。コラーゲンを変質させる高血糖を防ぐ食事も大切です。
(『NHKためしてガッテン 「血管力」で若返る!』NHK科学・環境番組部、主婦と生活社「NHKためしてガッテン」編集班編)
 ところが、さに非ず、彼らの植民地支配は決して過去のことではなく、今日の国債問題に種々の形で影を落としている。欧米人の行動パターンには、彼らに深く根付き、脈々として温存されてきた植民地時代の発想が今なお健在で、随所に現れており、他方の支配されてきた国々の側でも、植民統治下に置かれていた時代の後遺症が色々な形で残されている。この問題は現代を理解する上で、考慮を要する不可欠の要素となっているのである。
 勢力下に置いた地域の統治形態を「支配・搾取型」と「共存・同化型」に大別するならば、近世の欧米列強による帝国主義的植民地経営は、おしなべて「支配・搾取型」の統治に徹してきたと言わざるを得ず、その名残りが今日の世界でも厳然と存在し続けている。
(『植民地残酷物語 白人優越意識を解き明かす山口洋一

人種差別
 造化が人の子を育てる時に最も意を用いているのは人らしい情を育てることである。人本然の情は他(ひと)が喜んでおれば嬉しく、他が悲しんでおれば悲しいのである。「可哀そうに」というのは人本然の心である。然しこれが充分よくわかるようになるのは小学4年の終りである。
 人の子の生い立ちをよく見るに、生まれて3カ月間は「懐しさと喜びの世界」に住んでいる。また生後2年6カ月位いは自我のない世界に住んでいる。これを童心の季節というのである。そして「可哀そうに」ということが本当によくわかるようになるのは前にいったように小学4年の終りである。
(『昭和への遺書 敗るるも またよき国へ岡潔〈おか・きよし〉)
 しかし、パーム油も含めて現在流通している植物油の9割はリノール酸の割合が大きく、炎症を促進するリスクがある。動物実験では、腎障害や脳出血、発がん促進などの有害作用が認められている。植物油のほとんどは、「人間での安全性」はまだ確立されているとはいえないのである。
 一方、動物性脂肪は植物油に比べて長期的には総コレステロール値を上げず、ヒトへの有害作用も認められない。飽和脂肪酸は、心血管系疾患の死亡率を低下させるのである。また、動物性脂肪の主成分である飽和脂肪酸や一価不和脂肪酸は、炎症にかかわるプロスタグランディンなどに変換されることはない。
(『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる浜崎智仁〈はまざき・ともひと〉)
 現在の薬局で処方されるような薬、つまり西洋薬が世に広まるようになったきっかけは1800年代半ばのクリミア戦争です。戦争中、戦地では多くのケガ人が出ます。出血を止める必要がありました。また、不衛生を強いられるような場所で集団生活をしているので感染症などが広がる危険性もありました。急性のケガや痛みを一時的に抑えたり、出血を止めたり、感染症の原因となる菌を減らしたり殺したりすることには薬はとても有効で素晴らしい力を発揮します。そう、そもそも薬は急場をしのぐためのものだったのです。
 ところが、その後私たちは慢性疾患に対しても薬を使うようになっていきます。薬のちからで値を下げるということを慢性的に続けているのです。【現在、病院で処方されている薬の約9割は慢性疾患に対するものだと言われています。
 薬というのは、ほとんどが合成物ですから人間の身体にとっては「異物」です。】異物ですから、身体の中に入った薬は本人が感じるか感じないかにかかわらず様々な影響をよくも悪くも及ぼすことになります。
(『それでも「コレステロール薬」を飲みますか? 薬剤師が教える薬に頼らず長生きする方法』宇田川久美子)

コレステロール
 奴隷貿易という叙事詩は長きにわたり、実に様々な状況のもとで繰り広げられた。一人の主人公がいるわけではなく、ドラマをつくりあげているのは何百万もの人々である。15世紀末から19世紀末まで、400年も続いた奴隷貿易を通じて、1240万人が奴隷船に積まれ、大西洋の「中間航路」を越えて、何千マイルもの距離の間に散らばる数百の荷揚げ場所へと運ばれた。悲惨な航海中に、180万人が命を落とし、遺体は船につきまという鮫へと向かって投げ捨てられた。生き延びた1060万人は、殺人的なプランテーション機構の、血塗られた奈落の口へと投げ込まれた。そして人々はそこで、考えられるかぎりの、あらゆる抵抗を試みることになるのである。(『奴隷船の歴史』マーカス・レディカー:上野直子訳)
マックス・ハーフェラール』は著者ムタトゥーリ(本名ダウエス・デッケル)が小説の形を借りて19世紀のオランダ領東インド植民地における植民地支配の実態を内部告発し、植民地政策を痛烈に批判した異色の作品である。小説とはいえ全くのフィクションではなく、その内容は大筋では史実に合致している。そのため出版にあたっては当初から政治的な思惑に巻き込まれ、結局著者の意図したものとは少し違った形で、つまり利害関係者が特定しにくいような形で世に出た。しかし関係者の間ではたちまちセンセーションを引き起こし、やがては19世紀最大の問題作として評価を得て、読み継がれていった。今では近代オランダ文学の最高傑作として、押しも押されもせぬ地位を確立している。(訳者はしがき)(『マックス・ハーフェラール もしくはオランダ商事会社のコーヒー競売ムルタトゥーリ:佐藤弘幸訳)
 以上、眺めてきたように、チベット問題に関して朝日新聞は一貫して中共側の立場に立ち続けて報道してきたことがお分かり頂けたと思う。占領下ではGHQの顔色を窺いながら媚(こ)び諂(へつら)い、1953年にGHQがいなくなると突如豹変し、一貫して中共を礼賛しチベット大虐殺の真実を伝えるどころか隠蔽(いんぺい)してきた朝日新聞。チベット大虐殺の真実を伝えることを怠ったのみならず、チベットで行われているのは、「民主化」、「解放」であると讃美し、搾取され、残虐な刑に処せられていたチベット人民たちが真に解放されるのは、中共の一部となったときだと嘘を並び(ママ)立ててきた朝日新聞。中共の一部となって、近代化も進み、晴れて文明人としてチベット人は生活できるようになったというプロパガンダを中共政府とともに行ってきたのが朝日新聞という新聞であった。(『チベット大虐殺と朝日新聞 朝日新聞はチベット問題をいかに報道してきたか岩田温〈いわた・あつし〉)
 独裁者ヒトラーの率いるナチス・ドイツが国民の健康に異常なほどに気を配る政権だったことはあまり知られていない。ヒトラーは菜食主義者でアルコールもタバコも嫌悪していた。世界の中で最も行政が力を入れた禁煙運動はナチスが展開したものに他ならなかった。ヒトラー・ユーゲントというナチスの青少年組織では「栄養摂取は個人の問題ではない!」とのスローガンが手帳に記載され、バランスのとれた、健康的な食事をするように士道されていた。(『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義岩田温〈いわた・あつし〉)
 避けるべき最も一般的な多価不飽和湯は、キャノーラ油、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、サフラワー油、大豆油、ひまわり油などの植物油である。きわめて不安定なことに加えて、主な問題は、アメリカではほとんどが遺伝子組み換えをされ、多くがその製造過程で使用される有害な溶剤を含有していることだ。トウモロコシのような作物から油を搾るのは容易ではないので、生産量を最大化するために溶剤が必要とされる。そのせいでこれらの油は、炎症を引き起こす。
 逆に、グラスフェッドの動物性脂肪、ココナッツオイル、中鎖脂肪酸(MCT)油、グラスフェッドバター、オリーブオイルといった、【ヘルシーな完全無欠の脂肪は炎症を減らしてくれる】
(『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』デイヴ・アスプリー:栗原百代〈くりはら・ももよ〉訳)
 サイズやメーカーによって、フレームのシート角やヘッド角は違います。私が小さなフレームを薦めない理由は、【フレームが小さくなるほどシート角が立ち、ヘッド角は寝ていて、ヘッドチューブが短い】からです。(『自転車の教科書 身体の使い方編堂城賢〈たかぎ・まさる〉)

ロードバイク
 ためらいなくお答えしよう。私には、コレステロール学説の歴史が、ほぼ途切れることのない嘘の連続のように思われるのだ。徹底したプロパガンダが仕組んだ嘘であり、このプロパガンダも時が経つにつれてますます洗練されることになった。また、何の誇張もなく言うと、最新鋭の大衆操作・世論形成のテクニックにより、抗コレステロール作用がある薬剤や食物が健康市場や農作物加工品市場に売り込まれていったのである。以上が、本書のタイトルを【嘘とプロパガンダ】とした理由である。これこそが現実なのだ。(『コレステロール 嘘とプロパガンダ』ミッシェル・ド・ロルジュリル:浜崎智仁〈はまざき・ともひと〉訳)
 死後に成長する作家、という言い方がある。埴谷雄高がドストエフスキーについてそう言っていた。これは本物の作家を遇するにふさわしい言い方だ。彼の存在あるいは作品が、死後もずっと長く、常により新しい現代的な問題を孕んで再生してくるからである。
 三島由紀夫がまさしくそういう作家であった、と私は思う。こういう作家は、第一に個性という以上のもの、天稟がなければならぬ。第二に時代と烈しく交錯しなければならぬ。彼は第一の資格を有し、第二の役割を見事に果たした。したがって彼の死後には、文学にも、いや広く日本の精神の領域にも、彼一身の分量の穴がポッカリと開いてしまった。その穴を誰も埋めることはできない。こういう作家、日本には稀である。
 彼の存在は、その死後、いよいよ多数の者によって呼び戻されている。(秋山駿〈あきやま・しゅん〉)
(『群像 日本の作家18 三島由紀夫』)
 その良い例が幕末における攘夷開国であり、攘夷は閉鎖系で「群れ合いの場」が中心だが、開国は開放系で「出会いの場」への評価に基づき、外に向かって開く拡散型のシステムに属している。だから、最初は攘夷の思想が狂気として荒れ狂ったが、冷静になって将来を展望したことで逆序の理に目覚めて、明治の日本人は文明開化の路線に切り替えた。そして、横井小楠の『国是三論』の富国、強兵、士道から、士道を削り「富国・強兵」を国策の指導理念として採用し、日本の近代化を実現するのに成功した。(『さらば、暴政 自民党政権 負の系譜藤原肇〈ふじわら・はじめ〉)
 人の情緒は固有のメロディーで、その中に流れと彩(いろど)りと輝きがある。そのメロディーがいきいきしていると、生命の緑の芽も青々としている。そんな人には、何を見ても深い彩りや輝きの中に見えるだろう。ところが、この芽が色あせてきたり、枯れてしまったりしている人がある。そんな人には何を見ても枯野のようにしか見えないだろう。これが物質主義とよばれる人たちである。(『春風夏雨岡潔〈おか・きよし〉)
 人間の行動における二つの本当に劇的な変容は、現代人類なみの脳の大きさに進化してずっとたってから生じた。その変容はホモ・サピエン・サピエンスのみのものとされる。第一の変容は6万年前から3万年前にかけての文化の爆発的発達で、最初の芸術、複雑な技術、宗教が現れた。第二の変容は1万年前の農耕の登場であり、人々ははじめて作物を植え、家畜を飼い慣らすようになった。(『心の先史時代スティーヴン・ミズン:松浦俊輔訳)
 今を去ること5億4300万年前、今日見られる主要な動物グループのすべてが、いっせいに硬い殻を進化させ、それぞれ特有の形態をもつにいたった。しかもそれは、地史的に見れば一瞬に等しい期間で起こった。これこそ、動物進化におけるビッグバン、史上もっとも劇的な出来事といってよいかもしれない。では、この「カンブリア紀の爆発」と呼ばれる出来事を招来した起爆剤は、いったい何だったのか。(『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』アンドリュー・パーカー:渡辺政隆、今西康子訳)
「あとに続くを信ず」
 大東亜戦争末期、特攻隊の間で最もよく交わされていた言葉である。この言葉を以て特攻隊員が敵に突撃し続ける日本人が陸続と現れることを願ったとするのは、いささか浅薄に過ぎよう。彼らが遺した多くの遺書から読み取れるのは、自らの犠牲の上に立派な日本を作り上げてくれという祈りにも似た声である。
 果たして現在の日本は、彼らの想いに応えているであろうか。靖国に鎮まる英霊は、現在の日本を見て納得するであろうか。
(『日本人の歴史哲学 なぜ彼らは立ち上がったのか岩田温〈いわた・あつし〉)
 数年前、私は日本統治時代における朝鮮半島の歴史を調べていくうちに、「抗日パルチザン」といわれていた「金日成将軍」率いる組織の中に、「金策」〈キム・チェク〉というナゾの男の存在を知り、その正体を求めて“東北抗日連軍”を追求していくと、金策とは、大日本帝国が朝鮮半島の赤化防止のために残した「残置諜者」であり、金日成が師と仰いだ男であることが判明し、朝鮮戦争でも、前線指揮官として中央郡を指揮して勇猛果敢に戦ったことを知ったのですが、そこでハタと「朝鮮戦争とは一体何であったのか?」という疑問に突き当たったのです。
 朝鮮半島の赤化防止のために残された金策こと、畑中理〈はたなか・おさむ〉がこのままでは日本の将来は危険である、と恐れたとしてもおかしくはなかったでしょう。
(『大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した』佐藤守)
 グリフィンが他に先駆けて動物の認知(1980年代に入ってかなりたつまで、「動物」と「認知」はありえない組み合わせと考えられていた)を認める立場を擁護するようになったのも不思議ではない。認知とは情報処理以外の何物でもないからだ。「認知」は、感覚入力を環境についての知識に変えるという心的変換と、その知識の柔軟な対応だ。「認知」という用語がそれを行なうプロセスを指すのに対して、「知能」はそれを首尾良く行なう能力という意味合いが強い。(『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのかフランス・ドゥ・ヴァール松沢哲郎監修、柴田裕之〈しばた・やすし〉訳)
 寒山〈かんざん〉は木の葉に詩を題した。が、その木の葉を集めることには余り熱心でもなかったようである。芭蕉もやはり木の葉のように、一千余句の俳諧は流転(るてん)に任(また)せたのではなかったであろうか? 少くとも芭蕉の心の奥にはいつもそういう心もちの潜んでいたのではなかったであろうか?(『芭蕉雑記・西方の人 他七篇』芥川龍之介)
 弓削〈ゆげ〉は、あきれたような顔になった。
「変人だという噂は本当だったのですね」
「私は自分を変人だと思ったことはありません」
「とにかく、降格人事が繰り返されることがあっては損をなさるだけだと申しているのです」
「人事に損も得もないでしょう。どこに行っても、私は自分が正しいと思うことをやるだけです」
「不思議ですね」
「何がですか?」
「話をしているうちにだんだんと、あなたが本気でそうお考えのような気がしてくるのです」
「言ったはずです。本音です」
 弓削は、毒気を抜かれたような顔になった。
(『去就 隠蔽捜査6今野敏〈こんの・びん〉)
 公務執行妨害は、警察官にとっては便利な罪状だ。かつて、学生運動が盛んな時代、公安捜査員たちは、活動家を検挙するためん、「転(ころ)び公妨(こうぼう)」という手法を使った。
 二人組の公安捜査員が、活動家と思しき人物に職務質問をする。いきなり、一人の捜査員が「わっ」と叫んで転ぶ。もちろん、相手は何もしていない。
 すかさず、もう一人の捜査員が大声で言う。
「突き飛ばしたな。公務執行妨害の現行犯で逮捕する」
 そうして、身柄を引っぱるわけだ。
 これが、悪名高き「転び公妨」だ。
(『自覚 隠蔽捜査5.5今野敏〈こんの・びん〉)
「無事に解決したからいいようなものの、失敗していたら、おまえも俺も首だぞ」
「そんなに首が怖いのか?」
「何だって?」
「俺は、首よりも、やるべきことをやれないような事態のほうが恐ろしい」
(『宰領 隠蔽捜査5今野敏〈こんの・びん〉)
 本当に優秀な人間というのは、自分を過信しない。周囲の人間の助けを借りることも必要であることをよく心得ているものだ。(『転迷 隠蔽捜査4今野敏〈こんの・びん〉)
「普通の人間は、本音とたてまえを使い分けます。しかし、彼にはたてまえしかないのです。たてまえが本音なのです。竜崎にとって大切なのは原理原則です。どんなに複雑な問題に直面しても、彼は他人に迎合することなく、原理原則を貫き、結果的にそれが問題を解決することになるのです」(『初陣 隠蔽捜査3.5今野敏〈こんの・びん〉)
 弱い犬ほどよく吠えるというたとえのとおり、寡黙な者には注意をしなければならない。(『疑心 隠蔽捜査3今野敏〈こんの・びん〉)
 もし、これがアメリカの大統領や上院議員、州知事などだったら、私用だろうが公用だろうが出かけるときは、公用車を使うだろう。
 警備上の理由からだ。公用車というのは、使う人間の身を守るためにあるのだ。つまり、暗殺されたり誘拐されたりしたら困る人間を乗せるためのものなのだ。
 だが、日本ではまだ贅沢品と思われている節がある。危機管理の感覚の違いなのだろうが、野党や左翼系の市民団体などは、公務員や議員が私用に公用車を使うこと自体を問題視する。
(『果断 隠蔽捜査2今野敏〈こんの・びん〉)
 戦場にいる者は戦争の批判をしない。また、戦争に勝った者もその戦争の批判をしないものだ。(『隠蔽捜査今野敏〈こんの・びん〉)
 根本的に目の機能を回復させようと考えるのであれば、血流を促して「目を温めること」が大切なのです。(『驚くほど目がよくなる! たった10秒の「眼トレ」 「近視」「遠視」「老眼」が9割治る』日比野佐和子〈ひびの・さわこ〉、林田康隆監修)
 ミトコンドリアは細胞内にある小さな器官で、われわれがもつほぼすてのエネルギーをATP(アデノシン三リン酸)の形で生成する。平均的に言って、各細胞に300~400個存在し、人体全体では1京(けい)個(1京は1兆の1万倍)に達する。事実上すべての複雑な細胞には、ミトコンドリアが存在する。ミトコンドリアは細菌に似ていて、それは見かけだけではない。かつては自由生活性の細菌だったが、20億年ほど前、自分より大きな細胞のなかでの生活に適応したのである。(『ミトコンドリアが進化を決めたニック・レーン:斉藤隆央訳)
小林●ピカソにはスペインの、ぼくらにはわからない、何と言うか、狂暴な、血なまぐさいような血筋がありますね。ぼくはピカソについて書きましたときに、そこを書けなくて省略したのです。在るなと思っても、見えてこないものは書けません。あのヴァイタリティとか血の騒々しさを感じていても、本当には理解できないのです。(『対話 人間の建設小林秀雄岡潔
 快楽、喜び、笑い、たわむれ、そして悲しみ、苦痛、嘆き、涙。これらは脳でしか生まれないことを人間は知っておくべきだ……私たちを苦しめるすべてのものは脳から来ている……狂気は湿った脳から生じる。   ヒポクラテス
(『私はすでに死んでいる ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』アニル・アナンサスワーミー:藤井留美訳)
 東アジアにおけるイギリスの最大拠点だったシンガポールが日本の手で陥落した際、フランスの軍人(のちの大統領)ド・ゴールは「アジアの白人帝国の終焉(しゅうえん)だ」と日記に書き記しています。
「日本人が歴史上に残した業績の意義は、西洋人以外の人類の面前において、アジアとアフリカを支配してきた西洋人が、過去200年の間に考えられていたような、不敗の半神でないことを明らかにした点にある。(イギリスの歴史学者アーノルド・トインビー
「民族主義者は日本占領期間中に身につけた自信、軍事訓練、政治能力を総動員して西洋の植民地支配復帰に対抗した。そして、日本による占領下で民族主義、独立要求はもはや引き返せないところまで進んでしまったということをイギリス、オランダは戦後になって思い知ることになるのである」(コロラド大学教授J・C・レブラ)
(『学校では絶対に教えない植民地の真実 朝鮮・台湾・満州』黄文雄〈コウ・ブンユウ〉)

日本近代史
 奇妙なのは、自衛隊を「違憲だ」と認識しながら、「自衛隊の存在によって、立憲主義が覆される!」と主張することもなく、「集団的自衛権の限定的な行使容認によって、立憲主義が覆される!」と主張する人々だ。彼らは奇妙というよりも、偽りの立憲主義者だ。
 私は、一読して自衛隊の存在すら違憲としか解釈できないような憲法を改正して、誰もが納得のできる形の憲法を守ることが最も真っ当な方法だと考えているが、わが国には、極めてご都合主義的な偽りの立憲主義者が多数存在していることには辟易としている。
(『平和の敵 偽りの立憲主義岩田温〈いわた・あつし〉)
山家集』を読めばすぐ明らかに分るように、西行はふかく桜に魅入られた人間であり、数知れぬほど多く桜の歌を作っている。それに関して見逃しえないのは、散る桜、散る花を詠じたものがきわめて多いということに他ならない。西行はただ枝々に咲きつづけ、咲きとどまる花を歌ったのではなかった。(『西行』高橋英夫)
 人の顔つきは固定してはいないのである。私は人の中核は無形の森羅万象だと思っている。私はそれを情緒と呼んでいる。それが多分、情緒の中心によって顔つきとして表現せられるのであろう。だから変わるはずではあるが、それにしてもこんなに変わるとは。日本は終戦後、教育を変えてしまった。そのため児童、生徒、学生(何という煩わしさ)の顔つきが変わってしまった。今ならば見ればわかるのだから、このきわめて大切な事実を見のがなさないようにしてほしい。(『春の雲岡潔〈おか・きよし〉)
 写真家・森山大道氏は20代の若さながら、細江英公の助手として三島の有名な写真集『薔薇刑』の撮影に立ち会い、そのすべてのプリントを焼いたという運命的な経験の持ち主です。
 森山氏はこの三島との出会いを回想しながら、三島が亡くなった1970年ころから、日本の見え方が変質していったという、写真家ならではの歴史的直感を述べています。その変質とは、ひと言でいえば、「輪郭がぼやけていく」というものでした。
 この「輪郭がぼやけていく」感覚は、左翼運動の退潮で敵が見えなくなったこととも、また、高度経済成長で豊かさ以外を見なくてもよくなったこととも通じあう感覚でしょう。森山氏はそうした状況のなかで、いいようのない不安に襲われ、睡眠薬を常用するようになり、写真家としての活動を休止してしまいます。
(『続・三島由紀夫が死んだ日 あの日は、どうしていまも生々しいのか中条省平〈ちゅうじょう・しょうへい〉)

三島由紀夫
 柴田氏は、『報道されなかった北京 私は追放された』(サンケイ新聞社)という手記の中で、文化大革命当時の中国の異様な雰囲気を生々しく記録している。当時北京に駐在していた日本の商社マンたちは皆、胸にはいつも毛沢東バッジをつけ、商談や接待の前には『毛主席語録』を朗読してみせなければビジネスができない状況だったという。ある商社は「文革の勝利万歳!」「偉大なる毛主席万歳!」と叫びながら街なかをデモ行進までしてみせたという。そうまでして中国に忠誠心を示しながらも、スパイ容疑をかけられ、紅衛兵に両腕をねじあげられたままオフィスの廊下を歩かされたり、殴られて鼻血を流した日本人ビジネスマンも少なくなかったという。民間人だけでなく外交官といえども例外ではなかったようで、柴田氏はイギリス大使館が焼き討ちに遭い、紅衛兵がイギリス人外交官の頭を押さえつけ「頭を下げて謝罪しろ」と責めるのも目撃している。国外追放された柴田氏は北京を脱出する飛行機の中でさえ、スチュワーデスの命令で『毛主席語録』の朗読や毛沢東を賛美する革命歌の歌唱練習をさせられたという。(『なんじ自身のために泣け関岡英之
 今ふり返ってみると、あのときから8年の年月がたっている。走り始めた時私は68歳だった。最初の経験の激しさにかかわらずそのあとも走り続けたのはなぜですか、と、ときどきひとに訊かれる。私自身にも確たる理由は分からないが、結局は自動車のようにかさばらない乗り物で知らないところをゆっくり走れるのが楽しくて、ということなのだろう。(『自転車ぎこぎこ伊藤礼〈いとう・れい〉)
 ところで、倒れている人間の下に描いてある竿にとまったトリ――このトリを、なぜ描いているのだろうか。原始美術の研究者の間でいろいろ論議されているようだが、次のように考えたらどうだろうか。
 その時代の原始人は、肉体のほかに、霊魂の存在を考えていた。生きているときには、肉体に宿っているが、死ぬと肉体から抜けだしてゆく。そして、それはトリと化して飛びさってゆくのだと。
(『脳の話』時実利彦〈ときざね・としひこ〉)

脳科学
 スプリンターは速度への恐怖を克服しなければならない。
 ゴール前の速度は時速70キロを越える。十数人がもつれ合い、互いを追い抜こうとしている中へ飛び込んでいかなければならないのだ。
 当然ひとりが転倒すれば、みんなが巻き込まれる。怪我なんて日常茶飯事だ。
 怖い、と思ってしまえばもう終わりだ。足は止まり、勝つことはできない。
 冷静に考えれば、怖くないはずはない。
 だから、頭の中の掛け金を外す。生存への本能や、理性を吹っ飛ばす。
 俺たちは狂いながら、自分を壊しながら、限界を超えた速度の中に飛び込んでいく。
 恐怖を感じたスプリンターは、決して勝つことはできない。
(『サヴァイヴ近藤史恵〈こんどう・ふみえ〉)
 この会見を詳述し、昭和天皇の高潔な人格に打たれたと書いてあるのは、マッカーサーの日記だけです。なぜ、このような記述があったのでしょうか?
 実はマッカーサーの『回想録』というのは、嘘ばかりなんです。彼は間違いなく自分自身を誇大化するために、平然と嘘をつく人物です。
(『だから、改憲すべきである岩田温〈いわた・あつし〉)
 ロードバイクに乗っているときは、ヘソの下に力を入れる気持ちで体幹をつねに意識します。体幹が上手に使えなかったり、体幹が緩んでいたりすると、動きの支点が定まらないので力強いペダリングができなくなります。(『より速く、より遠くへ! ロードバイク完全レッスン 現役トップアスリートが教える市民サイクリストのトレーニング法』西加奈子〈にし・かなこ〉)
 僕は立ちこぎだけで100キロ走ったことがあります。練習で遠くまで行ったときのことです。サドルの調整をしようとシートポストのネジを緩めていたら、ポロンと落ちたネジが路肩のグレーチングの網の中へ…。サドルを背中のポケットに入れて、立ちこぎだけで帰ってきましたよ…。たまにフレームに座ったりもしましたが…。(『自転車の教科書堂城賢〈たかぎ・まさる〉)

ロードバイク
 そういえば家の者も私が自転車を買ってきたというので見に来て、「なによ、コレ」と軽蔑したような顔をした。あっけないぐらい小さいし細くて頼りない。スタンドも荷台もない。けばけばしく歯車だらけでもない。彼女の抱いている自転車の観念に照らせば10万円の自転車がこんなものであるはないのであった。ものごとは、起きるときは常に内憂外患の様相を呈するものであって、今回もそれであった。(『こぐこぐ自転車伊藤礼〈いとう・れい〉)

ロードバイク
 そもそも、なぜ太るのでしょうか?
 肥満とは、ご飯やパン、麺類といった糖質を頻繁(過剰)にとって血糖値が上がるために「インスリン」というホルモンが大量に分泌されることによって生じます。
 インスリンは“肥満ホルモン”という異名をとるほど肥満に直結するのです。
 糖質を頻繁(過剰)にとるなどして、いったん小太りになるとインスリンの効き目が悪くなります。インスリンの効き目が悪くなることを「インスリン抵抗性」といいますが、こうなると血糖値を下げるためにより多くのインスリン(肥満ホルモン)を分泌せざるを得ず、ますます太るという悪循環になります。
(『人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる』江部康二)

糖質制限
 私たちの人生は愛とともに始まる、とカメラをまっすぐに見つめてハリーは言う。私たちは人とのつながりを家庭で学ぶ。それは人生を築き上げていくための土台であるし、そうあるべきなのだ。サルであろうが人間であろうが、もし幼少期に愛を学ばなければ、「おそらく、一生愛を学ぶことはない」。(『愛を科学で測った男 異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実』デボラ・ブラム:藤澤隆史、藤澤玲子訳)
 私は司馬さんの愛読者ではないけれど、『坂の上の雲』は面白いと思っていました。その日も「雲を求めて、坂を上ってきた日本は、その歴史をどう見通すことができるか」という話ができればと考えていました。
 ところが司馬さんが、
「結局、雲はなかった。バルチック艦隊の最後の軍艦が沈んだ時から日本は悪くなった」
「日露戦争までの日本史は理解できるが、昭和に入ってから20年間の歴史は他の時代とはまったく違い、断絶している、非連続だ」
 と言うに及んで、反論のスイッチが入りました。
 坂を上っていって、雲をつかめたかどうかはわからないけれど、かつて夢にまで見た、西欧的な産業国家になったのは事実です。司馬さんのような見方は、西欧コンプレックスそのものだし、東京裁判の図式と変わらないではないか、といつもの調子で言い募ってしまったのです。
 2~3日してから嶋中さんが、
「非常に面白い対談になったけれど、司馬さんは我が社にとって貴重な財産です。司馬さんは大変なショックを受けてしまいましたから、雑誌に載せるのはやめにしましょう。『日本の近代』の企画もしばらく凍結しましょう」
 と言ってきて、司馬さんとはそれきりになりました。
(『歴史と私 史料と歩んだ歴史家の回想』伊藤隆)
 ちなみに東インド植民地からの収益は、1930-50年にはオランダの国庫歳入の19%、1850-60年には32%にも達した。いうまでもなく、このような高収益はジャワ農民の大きな犠牲のもとに達成されたものであり、東インド植民地は、沈みかかっていた「オランダが手にしたコルク(救命具)」の役をはたした、といわれたほどであった。(「解説」佐藤弘幸)(『マックス・ハーフェラールムルタテューリ:渋沢元則訳注、大学書林)
豆腐ごはんを主食にする

 ごはんの代わりとしてイチオシなのが“豆腐ごはん”。たんぱく質が豊富な豆腐と食物繊維が多いおからのコンビは、糖質の摂取量を減らしておなかを満たすという、糖質制限を続けるための条件を満たしています。

(『別冊宝島 糖質制限完全レシピ』)
動脈硬化の進行を外見からチェック!
1 耳たぶにシワができる
2 まぶたにコブのようなもの(脂肪のかたまり)ができる
3 左右の足で爪の伸び方や毛(すね毛)の生え方が違う
4 左右の足の皮膚の色が違う
5 左右の足の太さが違う
6 蚊の刺され方が左右で違う
(『血管がぐんぐん若返る最強療法2016年版』)