「あとに続くを信ず」
 大東亜戦争末期、特攻隊の間で最もよく交わされていた言葉である。この言葉を以て特攻隊員が敵に突撃し続ける日本人が陸続と現れることを願ったとするのは、いささか浅薄に過ぎよう。彼らが遺した多くの遺書から読み取れるのは、自らの犠牲の上に立派な日本を作り上げてくれという祈りにも似た声である。
 果たして現在の日本は、彼らの想いに応えているであろうか。靖国に鎮まる英霊は、現在の日本を見て納得するであろうか。
(『日本人の歴史哲学 なぜ彼らは立ち上がったのか岩田温〈いわた・あつし〉)