人の顔つきは固定してはいないのである。私は人の中核は無形の森羅万象だと思っている。私はそれを情緒と呼んでいる。それが多分、情緒の中心によって顔つきとして表現せられるのであろう。だから変わるはずではあるが、それにしてもこんなに変わるとは。日本は終戦後、教育を変えてしまった。そのため児童、生徒、学生(何という煩わしさ)の顔つきが変わってしまった。今ならば見ればわかるのだから、このきわめて大切な事実を見のがなさないようにしてほしい。(『春の雲岡潔〈おか・きよし〉)