今を去ること5億4300万年前、今日見られる主要な動物グループのすべてが、いっせいに硬い殻を進化させ、それぞれ特有の形態をもつにいたった。しかもそれは、地史的に見れば一瞬に等しい期間で起こった。これこそ、動物進化におけるビッグバン、史上もっとも劇的な出来事といってよいかもしれない。では、この「カンブリア紀の爆発」と呼ばれる出来事を招来した起爆剤は、いったい何だったのか。(『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』アンドリュー・パーカー:渡辺政隆、今西康子訳)