しかし、パーム油も含めて現在流通している植物油の9割はリノール酸の割合が大きく、炎症を促進するリスクがある。動物実験では、腎障害や脳出血、発がん促進などの有害作用が認められている。植物油のほとんどは、「人間での安全性」はまだ確立されているとはいえないのである。
一方、動物性脂肪は植物油に比べて長期的には総コレステロール値を上げず、ヒトへの有害作用も認められない。飽和脂肪酸は、心血管系疾患の死亡率を低下させるのである。また、動物性脂肪の主成分である飽和脂肪酸や一価不和脂肪酸は、炎症にかかわるプロスタグランディンなどに変換されることはない。
(『コレステロール値が高いほうがずっと長生きできる』浜崎智仁〈はまざき・ともひと〉)