意識は、現在でも多くの分野で最大の謎の一つとされている。なぜ、そしていかなる仕組みを通じて客観的な存在たる灰色の脳から、主観的で多彩な個人的経験が生じるのだろうか? オーストラリア出身の現代の哲学者デイヴィッド・チャーマーズ(1996)は、この問いを「ハードプロブレム」と呼ぶ。事実、この問いに答えるのは非常に困難だ。(『脳はいかに意識をつくるのか 脳の異常から心の謎に迫る』ゲオルク・ノルトフ:高橋洋訳)