われわれは短い人生を受けているのではなく、われわれがそれを短くしているのである。われわれは人生に不足しているのではなく濫費しているのである。(『人生の短さについて 他二篇』セネカ:茂手木元蔵訳)
中江兆民
中江兆民
実は、こうした宇宙こそ、2500年前に釈迦(しゃか)がいった、唯識(ゆいしき)の世界なのです。
「宇宙はすべて意識で存在している」。つまり、情報状態だとすでにいっていたのです。(『苫米地英人、宇宙を語る』苫米地英人)
「宇宙はすべて意識で存在している」。つまり、情報状態だとすでにいっていたのです。(『苫米地英人、宇宙を語る』苫米地英人)
スティーヴン・ホーキングは1ビットの情報をブラックホールへ投げ込んだらどうなるかと想像した。投げ込む情報は本やコンピューターでもいいし、1個の素粒子でもいい。(『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』レオナルド・サスキンド)
この段階を過ぎるとすぐに、指数関数的な傾向は一気に爆発する。今世紀の半ばまでには、テクノロジーの成長率は急速に上昇し、ほとんど垂直の線に達するまでになるだろう――そのころ、テクノロジーと我々は一体化しているはずだ。(『ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき』レイ・カーツワイル)
イノベーション
イノベーション
「少し、見えますか?」
ズドーン! ドッカーーーーーン!
白い光の洪水がメイの目に、肌に、血液に、神経に、細胞に、どっと流れ込んできた。光はいたるところにある。光は自分のまわりにも、自分の内側にもある。
(『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン:池村千秋訳)
視覚障害
ズドーン! ドッカーーーーーン!
白い光の洪水がメイの目に、肌に、血液に、神経に、細胞に、どっと流れ込んできた。光はいたるところにある。光は自分のまわりにも、自分の内側にもある。
(『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン:池村千秋訳)
視覚障害
外側をいかに規制し、制限しようと、いかなるルールに従わせようと、内なる心理の活動が外部を圧倒し、これら外部のものごとは内なる願望、欲望、恐怖、不安によって、安定への切望、孤独の恐怖によって粉砕されてしまうのです。(『英知へのターニングポイント 思考のネットワークを超えて』J・クリシュナムルティ:神咲禮監修、大野純一監訳、渡辺充訳)
悪書を読まなすぎるということもなく、良書を読みすぎるということもない。悪書は精神の毒薬であり、精神に破滅をもたらす。良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。人生は短く、時間と力には限りがあるからである。(『読書について 他二篇』ショウペンハウエル)
ショーペンハウアー/読書
ショーペンハウアー/読書
私たちの実験が示すように、消費者が支払ってもいいと考える金額は簡単に操作することができる。つまり、消費者はさまざまな品物や経験に対する選考や支払い意思額を自分の思いどおりには制御できていない。(『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』ダン・アリエリー)
私たちは、自分の信じる考えに反するような情報を遠ざけることが多いため、自己の信念を支持する議論や証拠ばかりを偏って取り入れている。(『人間この信じやすきもの 迷信・誤信はどうして生まれるか』トーマス・ギロビッチ:守一雄、守秀子訳)
認知科学/科学と宗教
認知科学/科学と宗教
人は自転車に乗れるが、どうやって乗っているのかは説明できない。書くことはできるが、どうやって書いているのかを書きながら解説することはできない。(『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』トール・ノーレットランダーシュ:柴田裕之訳)
認知科学
認知科学
陽子がどれくらい小さいかというと、例えば印字「i」の「・」に当たる部分の微量なインクには、約500,000,000,000個の陽子が含まれている。50万年を分で勘定した数字を上回る個数、と言い換えてもいい。(『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン:楡井浩一訳)
これら三つの特徴――第一は感染的だということ、第二は小さな原因が大きな結果をもたらすこと、第三は変化が徐々にではなく劇的に生じるということは、小学校での麻疹(はしか)の蔓延や冬のインフルエンザの伝染の仕方と同じ原理に基づいている。(『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』マルコム・グラッドウェル:高橋啓訳)
ネットワーク科学
ネットワーク科学
隔たり次数に関しては、強い絆は実際のところ、まったくといっていいくらい重要ではない。グラノヴェターがつづけて明らかにしたように、重要なリンクは人々のあいだの弱い絆のほうであり、特に彼が社会の「架け橋(ブリッジ)」と呼んだ絆なのである。(『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』マーク・ブキャナン:阪本芳久訳)
ネットワーク科学
ネットワーク科学
階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能のレベルに到達する。(中略)
やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。(中略)
仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行なわれている。
(『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル:渡辺伸也訳)
【の法則】
やがて、あらゆるポストは、職責を果たせない無能な人間によって占められる。(中略)
仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行なわれている。
(『ピーターの法則 創造的無能のすすめ』ローレンス・J・ピーター、レイモンド・ハル:渡辺伸也訳)
【の法則】
ウィトゲンシュタインは、言語が明確でないためにさまざまな哲学的問題が生じているなどと気楽なことを言っているのではありません。彼は「すべての哲学的問題」が、言語から生じる擬似問題にすぎないと喝破しているのです!(『知性の限界 不可測性・不確実性・不可知性』高橋昌一郎)
いえいえ、わからないのも無理ありません。というのは協調にしても裏切りにしても、どちらが本当に合理的な選択なのかわからないのです。その意味で、囚人のジレンマはパラドックスなのです。(『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』高橋昌一郎)
・『不可能、不確定、不完全 「できない」を証明する数学の力』ジェイムズ・D・スタイン
・『不可能、不確定、不完全 「できない」を証明する数学の力』ジェイムズ・D・スタイン
西洋人は無限を徹底的に排除した。というのも、無限はすでに西洋思想の根元を蝕みはじめていたからだ。それはゼノンのせいだった。同時代人から西洋世界でもっとも厄介な人物と見なされていた哲学者だ。(『異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念』チャールズ・サイフェ:林大訳)
数学/異端
数学/異端
「他者の苦痛に対するラットの情動的反応」という興味ぶかい標題の論文が発表されていた。バーを押すと食べ物が出てくるが、同時に隣のラットに電気ショックを与える給餌器で実験すると、ラットはバーを押すのをやめるというのである。(『あなたのなかのサル 霊長類学者が明かす「人間らしさ」の起源』フランス・ドゥ・ヴァール)
アメリカでは教育や福祉以上に、美容にお金がつぎこまれる。莫大な量の化粧品――1分あたり口紅が1484本、スキンケア製品2055個――が、売られている。(『なぜ美人ばかりが得をするのか』ナンシー・エトコフ:木村博江訳)
母親が妊娠初期に栄養不良だと、節約型の代謝をする体の小さな赤ん坊が生まれる。だがその節約型の代謝のせいで、その後はどんどん脂肪をためこんで太るというわけだ。(『迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか』シャロン・モアレム)
個体は感覚としては外界と隔てられた実体として存在するように思えるが、ミクロのレベルではたまたまそこに密度が高まっている分子の、ゆるい「淀み」でしかない。その流れ自体が「生きている」ということである。(『もう牛を食べても安心か』福岡伸一)
「キリシタンでも何でもいいが、公儀にかぎらず、お上というものが宗教を取り締まるのは、それを見せしめにして、人民をみなおまえさんのような考えにさせるのが目的なのさ」(『青い空 幕末キリシタン類族伝』海老沢泰久)
キリスト教/勝海舟
キリスト教/勝海舟
彼(※ジェイムズ・M・リンチ)はその中で、人生の危機に直面し、しかも人間的な接触の恩恵を受けていないと、人間は生命が脅かされるような心臓障害にかかることが多い、と述べている。(『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル:小此木啓吾訳)
そう考えると「閉じ込める」という言葉も患者の実態をうまく表現できていない。むしろ草木の精霊のごとく魂は軽やかに放たれて、私たちと共に存在することだけにその本能が集中しているというふうに考えることだってできるのだ。(『逝かない身体 ALS的日常を生きる』川口有美子)
「自立とは、誰の助けも必要としないということではない。どこに行きたいか、何をしたいかを自分で決めること。自分が決定権をもち、そのために助けてもらうことだ。だから、人に何か頼むことを躊躇(ちゅうちょ)しないでほしい」(エド・ロング)『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』渡辺一史
障害/介護
障害/介護
「イメージ」というのは、要するに、「サングラス」越しに見える風景ということなのです。わたしたちが、社会にかけさせられた「サングラス」をとるためには、結局、わたしたちが自分の目で「見る」以外にないのです。(『13日間で「名文」を書けるようになる方法』高橋源一郎)
戦略はなくても戦争は戦える。しかし負ける。戦略はなくとも企業経営はできる。しかし、長期的には恐らく、世界市場で勝ち残ることはできないであろう。(『日本人のための戦略的思考入門 日米同盟を超えて』孫崎享)
エコノミック・ヒットマン(EHM)とは、世界中の国々を騙して莫大な金をかすめとる、きわめて高収入の職業だ。彼らは世界銀行や米国国際開発庁(USAID)など国際「援助」組織の資金を、巨大企業の金庫や、天然資源の利権を牛耳っている富裕な一族の懐(ふところ)へと注ぎこむ。その道具に使われるのは、不正な財務収支報告書や、選挙の裏工作、賄賂、脅し、女、そして殺人だ。(『エコノミック・ヒットマン 途上国を食い物にするアメリカ』ジョン・パーキンス)
アメリカ
アメリカ
「あんたがたはまったくまんまと俺を変えてしまったってこと、ご自分でわかってますかねえ……そう、一人の人間から一つの状態へとね。そう、ですから、この俺というのは、一つの状態なんですよ。それ以上のものでは決してねえんだ」(『ハイファに戻って/太陽の男たち』ガッサーン・カナファーニー:黒田寿郎、奴田原睦明訳)
私の意図は、目前にした事実を伝え、平和を願う意志を理屈から力に転化することであった。観念の戦いは不毛である。平和は戦争以上に積極的な力でなければならぬ。(『医者、用水路を拓く アフガンの大地から世界の虚構に挑む』中村哲)
後悔も「怒り」です。罪です。過去のやったこと、やらなかったことにとどまっていますから、その人は前に進めなくなります。失敗を思い出すたびに足が止まってしまいますし、前に進んでいる人でもスピードが下がります。(『怒らないこと2 役立つ初期仏教法話11』アルボムッレ・スマナサーラ)
仏教
仏教
怒りを甘くみてはいけません。怒りが生まれた瞬間に、からだには猛毒が入ってしまうのです。たとえわずかでも、怒るのはからだに良くないとしっかり覚えておいてください。怒りはまず自分を燃やしてしまいます。(『怒らないこと 役立つ初期仏教法話1』アルボムッレ・スマナサーラ)
仏教
仏教
おおぜいのひとが雑誌に手紙を出して、マリリン・フォス・サバントはまちがっているといってきた。(中略)しかしマリリン・フォス・サバントは正しかったのです。(『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン:小尾芙佐訳)
「家族の困窮があったかもしれない。しかし私は一顧だにしない」。そう述べていたその人が加害者の家族に涙を流す、これもまたもうひとつのまぎれもない父親の姿だった。(『自閉症裁判 レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』佐藤幹夫)
たしかに、はじめにことばがあり、ことばは神であった。しかしことばが神であったのは、人がことばによって神を発見し、神を作り出したからである。ことばが、その数十万年に及ぶ生活を通じて生み出した最も大きな遺産は、神話であった。(『漢字 生い立ちとその背景』白川静)
宗教
宗教
ひとりぼっちで食事をするのは、生まれて初めての経験だった。ヌバ山地では、ひとりで食事をする人はいない。それは、人を温かくもてなすというヌバの精神に反することなのだ。(『メンデ 奴隷にされた少女』メンデ・ナーゼル)
向こうの集団も、ぼくらと同じように幼い少年ばかりだったが、そんなことはどうでもよかった。やつらの弾薬を奪い、その死体を尻に敷いて、やつらが持ち歩いていた糧食を食べはじめた。あたり一面、死体から流れ出た血の海だ。(『戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった』イシメール・ベア:忠平美幸訳)
少年兵
少年兵
「ある文化の中で、服従することが神聖なことだと考えられるようになれば、人は良心の呵責なく罪なき人を殺すことができる」(『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』レヴェリアン・ルラングァ山田美明訳)
ルワンダ
ルワンダ
子どもたちは、より苦しんで死ぬように、足を叩き切った後、生きたままその場に放置され、赤ん坊は、岩にうちつけられ、エイズにかかっている兵士は、病気がうつるように10代の少女をレイプするように命令されたのでした。(『生かされて。』イマキュレー・イリバギザ、スティーヴ・アーウィン)
ルワンダ
ルワンダ
「今のおれにはおまえに何にもしてやれない だけどきっとおまえをここから出してやる! 忘れるな! 新しい時代を生み出すのは女性であることを! 本流は女性だ!! 本流は女性だ!!」(『親なるもの 断崖』曽根富美子)
爪を引き剥がされた、両手と両足の爪を。そして日向(ひなた)にさらされた。その痛みは、おまえには想像できないだろう。だが、わたしは耐えた。わたしの口から嘆きの言葉は洩れ出なかった。(『イタリア抵抗運動の遺書』P・マルヴェッツィ、G・ピレッリ編)
ナチス/イタリア
ナチス/イタリア
動物に労働を強制することはできない。人間だけが奴隷になり得る。人間を奴隷にし、労働を強制すると言っても、物理的手段によるのではない。人間はみずから進んで強制に屈服し、奴隷になる。(『続 ものぐさ精神分析』岸田秀)
心理学
心理学
われわれが邪悪な人間に出会うのは一生に一度か二度というわけではなく、ほぼ日常的に人間性の危機にわれわれは接しているのである。(『平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学』M・スコット・ペック:森英明訳)
サイコパス
サイコパス
気がつき始めてみると、こえの状態が悪い人があまりに多いので、私は不安になってきた。なぜ私たちは、これほどこえが出ないのか。なぜ私たちは、こんなにからだが歪んでいるのだろう。(『ことばが劈(ひら)かれるとき』竹内敏晴)
コミュニティ community という言葉は、com と munus に由来し、前者は「お互いに」、後者は「贈り物」を意味するそうです。つまり、お互いに与えあう関係を示しているのです。(『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』河邑厚徳、グループ現代)
ガンディーはカースト制の信奉者であった! 彼の狙いとするところは、カースト制はそのままにし、不可触民制だけを廃止して不可触民を第5位カースト民の地位に引き上げようというものであった。(『アンベードカルの生涯』ダナンジャイ・キール:山際素男訳)
自分はひとりきりで、ふたたび山の上にいる。孤独がどんなに安らぎを与えるものか、わたしは忘れていた。脚に、肺に、昔の力がよみがえる。冷たい風が全身を打ちすえる。55歳のわたしは、いまにも歓声をあげそうだった。(『鳥 デュ・モーリア傑作集』ダフネ・デュ・モーリア)
あの日、詩織さん達がここに相談に来て、絶望したのがよく理解できた。ここはまったくダメだ。「人間」がいないのだ。詩織さんは二つの不幸に遭遇した。一つは小松に出会ったこと。もう一つは上尾署の管内に住んだことだ。(『桶川ストーカー殺人事件 遺言』清水潔)
(※初めてカナダに留学。だが留学中に鬱病となる。帰国後、大学をやめようとした)
そして、しばしば考えた後、見えた答えがあった。それは「私の人生は私のものなんだ」っていうこと。「私にしかない世界が広がっているんだ」ってことだった。(『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』山口絵理子)
そして、しばしば考えた後、見えた答えがあった。それは「私の人生は私のものなんだ」っていうこと。「私にしかない世界が広がっているんだ」ってことだった。(『裸でも生きる 25歳女性起業家の号泣戦記』山口絵理子)
誤解される人の姿は美しい。
人は誤解を恐れる。だが本当に生きる者は当然誤解される。誤解される分量に応じて、その人は強く豊かなのだ。誤解の満艦飾となって、誇らかに華やぐべきだ。
(『芸術は爆発だ! 岡本太郎痛快語録』岡本敏子)
人は誤解を恐れる。だが本当に生きる者は当然誤解される。誤解される分量に応じて、その人は強く豊かなのだ。誤解の満艦飾となって、誇らかに華やぐべきだ。
(『芸術は爆発だ! 岡本太郎痛快語録』岡本敏子)
権力が社会的な圧力を加えているような状況では、私たちが持っている道徳概念などはたやすく踏みにじられてしまうことをミルグラムの実験は劇的な形で示したのである。(『服従実験とは何だったのか スタンレー・ミルグラムの生涯と遺産』トーマス・ブラス:野島久雄、藍澤美紀訳)
人間とはいつ、自ら敗れ去るか、ねえアーミナ、きみは知っているかい? 人はね、自分が愛するもののことを忘れて、自分のことしか考えなくなったとき、自ら敗れ去るのだよ。(『アラブ、祈りとしての文学』岡真理)
「おんな の こ と あそびに いきたかった けっこんも したかった こども も ほしかった きょういくも うけたかった でも そう おもうことさえ ゆるされなかった」
文字盤の上に、静かに涙がこぼれ落ちた。
(『セックスボランティア』河合香織)
文字盤の上に、静かに涙がこぼれ落ちた。
(『セックスボランティア』河合香織)
北イラクのシャニダール洞窟で発掘された化石はネアンデルタール人(※約20万~3万年前)のイメージを大きく変えた。見つかった大人の化石は、生まれつき右腕が萎縮する病気にかかっていたことを示していた。研究者は、右腕が不自由なまま比較的高齢(35~40歳)まで生きていられたのは、仲間に助けてもらっていたからだと考えた。そこには助け合い、介護の始まりが見て取れたのだ。「野蛮人」というレッテルを張り替えるには格好の素材だった。(『人類進化の700万年』三井誠)
本物ばかりをありがたかるのは、人間が二流である証拠だ。本物というのはどうも本物ということにあぐらをかいてしまう傾向がある。そういうわけで、私はむしろ、まがいものが本物に似ようとする、哀切な努力を買う。(『我が心はICにあらず』小田嶋隆)
「彼らは自分の家へ勝手に火をつけておいて、こんどは、それに水をぶっかけて消そうとしたんです。そして、消しそこねると、その責任を火に負わせたんです」(『スカラムーシュ』ラファエル・サバチニ:大久保康雄訳)
彼を貫いたのはイスラエル狙撃兵のたった一発の銃弾だった。彼は叫び声を上げることもなく、そのまま息を引き取った。
打ち砕かれたのは、彼の抵抗の意志だった。それもあっけなく、たった一発で彼は静かに死んだ。
(『パレスチナ 新版』広河隆一)
打ち砕かれたのは、彼の抵抗の意志だった。それもあっけなく、たった一発で彼は静かに死んだ。
(『パレスチナ 新版』広河隆一)
機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現れる。歌わぬ詩人というものは真の詩人ではない如く、単に内面的であるというような幸福は真の幸福ではないであろう。(『人生論ノート』三木清)
幸福は人格である。ひとが外套(がいとう)を脱ぎすてるようにいつでも気楽にほかの幸福は脱ぎすてることのできる者が最も幸福な人である。しかし真の幸福は、彼はこれを捨て去らないし、捨て去ることもできない。(『人生論ノート』三木清)
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