グリフィンが他に先駆けて動物の認知(1980年代に入ってかなりたつまで、「動物」と「認知」はありえない組み合わせと考えられていた)を認める立場を擁護するようになったのも不思議ではない。認知とは情報処理以外の何物でもないからだ。「認知」は、感覚入力を環境についての知識に変えるという心的変換と、その知識の柔軟な対応だ。「認知」という用語がそれを行なうプロセスを指すのに対して、「知能」はそれを首尾良く行なう能力という意味合いが強い。(『
動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』
フランス・ドゥ・ヴァール:
松沢哲郎監修、柴田裕之〈しばた・やすし〉訳)