ところがこの状態も、岸信介が1957年2月から1960年7月まで首相を務めることによって終わりを告げた。日本が「自らの独立的選択」によってアメリカの忠実な同盟国となったことを岸首相が完全に明確化したからだ。
 このことの意味は、数年後に明らかになる。アメリカがベトナムにおいて大規模な軍事介入をした時のことだ。韓国は、数年間にわたって数十万人もの戦闘部隊をベトナムに派兵したが、日本政府はまったく派兵しなかった。これは憲法の制約によるものではない。「自らの独立的選択」にこそ、その理由があった。
(『戦争にチャンスを与えよ 』エドワード・ルトワック:奥山真司訳)