19世紀に骨相学が大流行した。当時の骨相学は、人間の性格や動機を簡単に見抜けると豪語していた。現代の星占いのようなものだが、星占いとはちがって、一見「科学的」であり、客観的に計測しているように見えた。創始者のドイツ人フランツ・ガルは、頭蓋骨の各々の隆起はそれぞれ性格の特徴をあらわしていると考えた。それは「子供たちへの愛」や「凡庸」などと、明快かつ具体的な特徴として説明された。ある人の性格を知りたければ、頭蓋骨の形を調べるだけでわかるというのである。そんな骨相学も、臨床報告がそれとはちがう見解を出しはじめると、まもなく信用を失っていった。(『脳の探究 感情・記憶・思考・欲望のしくみ』スーザン・グリーンフィールド:新井康允監訳、中野恵津子訳)

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