筋立てからも分かるとおり、(アニメ版)『アキラ』において東京は「瓦礫の山より出発、驚異的な発展をとげるものの、繁栄のピークで自己崩壊をきたし、瓦礫の山に戻る」プロセスを得急につづけるものとしてとらえられる。つまりは1945年から始まり、回り回ってふたたび1945年に行き着くのである。(中略)
2020年にネオ東京でオリンピックの開催が予定されていたことも、関連して注目に値する。東京五輪が開かれたのは1964年のことながら、本来は戦前、1940年に開催されるはずであった。1939年、第二次世界大戦が勃発したせいで、この大会は流れてしまうのだが、『アキラ』が「近代日本(とりわけ戦後日本)をめぐる寓話」というニュアンスを持つことは疑いえまい。
(『震災ゴジラ! 戦後は破局へと回帰する』佐藤健志)