ところがあの戦争では日本にあっさりと負け、気がついたら彼らは貧しい欧州の小国に戻っていた。
「日本は負けたが、それは米国が勝っただけで、これらの国々は負けて植民地を失い、兵士は捕虜にされた。その屈辱は晴らせなかった。それが戦後の対日観の根底にある」(ジャン・ピエール・レーマン、国際経済学者)と。
 だから日本人が焼け跡で立ち尽くしている間はまだよかったが、いつの間にか新幹線を走らせ、ニコンやソニーが売れ始めると、もう腹立たしくなる。
 オランダは腹いせに二度目の賠償を取り、フランスは日本の首相をトランジスタ商人とくさし、元捕虜のピエール・ブールは日本人を猿に擬し、『猿の惑星』を書いて侮辱した。
(『変見自在 サダム・フセインは偉かった』高山正之)