ここで問題になるのが、ハーバード大学のローゼンタール博士が言うところの「お蔵入り問題」だ。(中略)
原理的なことを言えば、本当は否定的な実験結果は肯定的な実験結果と同じくらい意味があるのだが、実験者の心の問題として、否定的な実験結果には価値がないと思ってしまうのである。
こうして、超常現象に否定的な結果はお蔵入りとなり、超常現象に肯定的な結果ばかりが公表されることになる。このことが、見かけ上統計的に有意な超常現象があるように見える理由ではないかと考えることもできる。これが、「お蔵入り問題」なのである。(茂木)
(『ノーベル賞科学者ブライアン・ジョセフソンの科学は心霊現象をいかにとらえるか』ブライアン・ジョセフソン:茂木健一郎、竹内薫訳)