日本は公的資金を直接注入するだけでなく、ゼロ金利と量的緩和による景気刺激策を行い不良債権処理も含めて経済の立て直しに時間をかけてきました。銀行に預けても利息はつかず、高齢者などにとっては厳しい環境が長期化しました。仮に20年間、日本が3.6%の金利であれば、複利計算を行うと預貯金は倍になっていたことになります。
言い換えれば、日本人は預貯金の利息をもらわないことで金融機関を支えてきたのです。公的資金の注入と国民の見えない支援が日本再生の両輪でした。長い時間をかけ、これだけの犠牲を払うことによって、経済大国の座を失わずにバブル崩壊から立ち直ったのです。
(『世界はマネーに殺される』青木文鷹)