自我とは他者の自我のコピーであることを発見したのはフロイトである。自我は、一般的に言えば、わたしがほかならぬこのわたしであることの拠りどころであり、わたしをわたし以外の者と区別するところのものであって、自我なしにはわたしという存在はないのであるが、その自我が他者の自我のコピーなのである。(『唯幻論大全 岸田精神分析40年の集大成岸田秀