看護婦は死んだ赤ちゃんを取り上げようとしたが、彼女は必死に抵抗した。私はその小さな遺体をどうするのだろう、と不思議に思った。ちょうどそのとき、衛生兵が彼女から赤ちゃんを奪い取り、すぐさま貨車から放り投げた。そのちっちゃな身体はほんの一瞬、人形のように空中をゆっくりと飛んでいき、すぐに見えなくなった。(『竹林はるか遠く 日本人少女ヨーコの戦争体験記』ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ著・監訳:都竹恵子訳)

戦争