副島●キリスト教においては、ミラクル(奇跡)というものは大変素晴らしいものだ。神が降臨したとか、病者を癒(い)やしたり、海の上を歩いたとかいうのが奇跡です。「ここに飲み物と、食べ物が現われよ」と言ったら、パンやワインがどっさり現われた。
ところがキリスト教徒はマジックのほうはもの凄く忌(い)み嫌います。マジックはマジシャン(魔術師)がやることだからです。ヨーロッパでは、キリスト教がとくに16世紀以降、マジックをものすご(ママ)く嫌います。でもミラクルは信じる。
実は、日本の天皇陛下は東アジアの蛮族(原住民)の大酋長(グランドチーフ)であり、同時にグランド・マジシャン(大神官)です。この様子が『インディ(アナ)・ジョーンズ』という映画のなかに出てくる。遅れた社会のグランド・マジシャンがいて、魔神の前で這い蹲(つくば)っている人々がいる。この人々を近代人が救い出すという構図です。
(『暴走する国家 恐慌化する世界 迫り来る新統制経済体制(ネオ・コーポラティズム)の罠』副島隆彦、佐藤優)