米国は日本と違い、対外純負債があるので問題だとされますが、実は、それは違います。
 戦後世界がドルを基軸通貨と認めてきたため、米国の対外負債はドル建てです。他方、対外資産は、現地通貨建てです(円、元、ユーロ、南米・アジア通貨)。ドルの実効レートが15%下がると、為替利益で対外資産($18兆)が15%切り上がって$21兆に増えたかのようになります。ところが対外負債はドル建てですから$21兆のままです。
 米国は、ドルの実効レートの15%低下で、対外資産と負債をバランスさせ、$2.7兆の対外純債務が魔法のように消えます。これに対応する損をするのは、対外資産を563兆円もつ日本の金融機関と政府、および外貨準備を$3.2兆(256兆円)もつ中国政府です。
(『国家破産 これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと吉田繁治