米中央情報局(CIA)の元諜報員で、民間セキュリティー会社カスター・バトルズ社を創設した34歳のマイク・バトルズは、ずばりこう言った。「イラクに広がる恐怖と無秩序は、わが社に有利な将来を約束している」。バトルズは、まだ無名で経験もない自分の会社にとって侵攻後のイラクの混乱状態はじつに好都合であり、連邦政府から約1億ドルの契約を受注するチャンスも夢ではない、と嬉々として語っている。彼の言葉は、現代資本主義のキャッチコピーとしても使えそうだ。「恐怖と無秩序は躍進の新たな一歩を導くきっかけになります」といったところだろう。(『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴くナオミ・クライン:幾島幸子、村上由見子訳)

ショック・ドクトリン