利潤を生むのは自然の豊穣ではなくて、労働である。カトリックにおいては、労働原罪をもつ人間に与えられた苦役であり、それゆえ「富は天国に積め」と教えられる。これに対して、プロテスタントにあっては、労働は人間のよろこびであり、これによって得られた富や利潤は労働の正当な対価として人間の手に入る。近代の資本主義化がラテン・ヨーロッパのカトリック圏ではなく、北フランスやイギリス、そして北ドイツのプロテスタント(カルビン派、ルター派、イギリス国教会)において成立したのは、このためである。(『砂の文明・石の文明・泥の文明』松本健一)
キリスト教