岸●明治開国のころの写真がよく残っていますが、山っていうのはみんなすかすかですよね。
昔話なんかでよくいわれますが、おじいさんは山へ木を伐りに行くのではなく、柴を刈りに行くのです。薪にしたり炭にしたりするから柴しかなかった。柴がしょぼしょぼ生えているだけで、でかい木はそもそも無かったわけです。
それがたかだか50年くらいでこんなになってしまった。1960年前後の燃料革命で薪や炭が使われず、雑木林の伐採・管理が止まったからですね。
(『奇跡の自然 三浦半島小網代の谷を「流域思考」で守る』岸由二)