リヨンのリセで数学の授業を受けているときに、
マンデルブロは自分には特異な
視覚能力があることに気がついた。黒板に書かれた複雑な代数のなかに、即座に幾何学的な図形を見つけ出すことができるのだ。数式を見ると、マンデルブロはいつも最初にさっと図を描いた。その図が美的に不完全だと感じると、単純な射影変換や円の反転操作でもっと調和のとれた(対称性が高い)ものにした。こうした手法で、どんな複雑な問題も難なく解いてしまうのだ。(『
「読まなくてもいい本」の読書案内 知の最前線を5日間で探検する』
橘玲)