資本主義とは何か。それはまずは「資本」の無限増殖の運動です。「資本」とは、「キャピタル」という言葉からわかるように、「元金」であり、また「首都」です。キャピタルのもとになっている「キャペット」という言葉は「頭」です。だから、「キャピタル」はまた「もっとも重要な」という意味もある。「キャップ」はいうまでもなく頭にかぶる帽子であり、「キャプテン」は長です。
いずれにせよ、これからわかるように、資本主義(キャピタリズム)とは、「資本」=「頭」=「長」が先頭をきって新たな世界を開拓し、「資本」を増殖する運動なのです。「資本」つまり「頭金」が自己増殖する。「頭金」は、市場の中にあって、ただ需要と供給を調整するために人手から人手へとわたるものではありません。そうではなく、新領域を開拓し、そこに利潤機会を見出し、そのことによってまた次の「頭金」を作り出す。
(『さらば、資本主義』佐伯啓思)
資本主義の終焉と歴史の危機