ホークは動かなかった。相変わらず窓から港を見ていた。ボトルを上げてまた飲んだ。
「お前は徹底した実際的な男だ」私が言った。「人がなんと呼ぼうと気にしない。人が腹立たしい言動を見せても気にしない。肌の色など問題にしていない。怒らないし、感傷的になることはない。人に恨みを抱かない。怯えたり、混乱を来したり、ばか陽気になったり、嫉妬することはない。誰をも憎悪しない。誰をも愛さない。暴力をいとわない。暴力を楽しまない」
「スーザンは一応好きだよ」ホークが言った。
(『沈黙』ロバート・B・パーカー:菊池光訳)