マルティニの『
中国古代史』にもどろう。これは中国最古の時代からイエス(=漢)の時代までを扱う歴史書であるが、最もヨーロッパの人々に衝撃を与えたのは、
伏羲以後の時代を、疑いのない歴史的事実として承認したことであった。伏羲とは、「
三皇五帝」の最初に数えられる、あの伏羲である。マルティニは、しかも、この伏羲の統治をイエス前2952年と計算し、伏羲・神農、黄帝の三皇から五帝へ、さらに前2207年に始まる夏、ついで商(殷)、周など、以後も連綿として続く諸王朝を、疑いのない事実として認めたのである。(『
聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』
岡崎勝世)