沖縄県内には「琉球新報」と「沖縄タイムス」の2紙が存在し、2紙合計県内シェア97%を誇っている。主な収入源は企業広告と死亡広告である。県外紙の構成は記事対広告比率が6対4であるが、地元紙のそれは逆で4対6である。
 沖縄では個人が死亡すると、家族が紙面に家族、親戚縁者、友人、関連組織(会社)等個人属性情報を極力広範囲に提示する。そこには個人情報保護もへったくれもないのだ。葬儀は一種の祭りに近く、知り合いの親戚が死亡しても職務をいったん中断して、斎場に赴き焼香するのが習慣となっている。
 広告料は2社で寡占状態にあって、縦3cm、横6cmの最小枠でも7万円を要求される。1社に広告を申し込むと間もなくライバル社から電話がかかっているのだ。また他のネットサービス会社が死亡広告会社を立ち上げようと葬儀社にアプローチすると、その度に「地元紙との協定があって一切部外者には提供しない」と断られるという。
(『沖縄が中国になる日惠隆之介〈めぐみ・りゅうのすけ〉)