日本の軍部が武力を使用したのは済南出兵(1927)が最初であり、柳条溝事件=満州事変、以下同じ=(1931)がその次であるが、政治的恐慌というべき、軍部の外交への介入、政党への脅威などは、ロンドン軍縮会議が、そのはじまりであるというのがわたしの見解である。「柳条溝事件以来」というスローガンが戦後定着しているけれども、軍国主義ないしファッショの萌芽は実は柳条溝事件でなく、ロンドン会議であり、むしろ、柳条溝事件はロンドン会議から惹起された政治的パニックの結果といっても過言ではない。これこそ昭和史の新しい見方である。(『軍閥と重臣 新聞記者のみた昭和秘史岡田益吉

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