戦後のニッポンは、新興の軍事大国、中国のように核ミサイルや空母を敢えて持とうとはしなかった。そして、同盟国アメリカの凋落を目の当たりにしながら、いまだに対外インテリジェンス機関を持っていない。ウサギは鋭い牙を持たないゆえに、長い耳をそなえて、遥か彼方に芽生えた危機をいち早く察知し身を護る。戦後に日本は鋭い牙を研ごうとはしなかった。その一方で「インテリジェンス」という名の長い耳も持たなかった。(『インテリジェンスの最強テキスト手嶋龍一佐藤優