アラ木のうちにスミをかけるだろ? マナ木かけってわけでチョウナで落す。これに4時間ぐらいはかからア。削り台にあげてからチョウナ目を見直して、アラシコ、中シコをかけて、それからスミをうつんだ。てんづけカンナをかけるなんて雑なことはしやしねえ。スミをうったら二寸ガンナで削り、その上を三寸でムラ取り、またそいつに四寸ガンナってわけだ。
 あたしゃアこの四寸ガンナからできたカンナ屑は、惜しくってしばらく取っといたね。堂々たる四寸幅で、薄くってフワフワしてやがって、一気に二間削った長いやつが丸めると手のひらのなかへはいっちまって見えねえくらいなんだ。(味方虎児)
(『職人衆昔ばなし』斎藤隆介)