言うまでもなく、1945年のレイプ被害者の正確な数を計算することは決してできることではなかった。一般的には200万人のドイツ人女性が被害にあったと想定されている。この数字はポーランド人女性ばかりではなく、国防軍によって強制労働のためにドイツに連行されていたソビエト女性ならびに少女を除いたものである。しかしベルリンの数値はおそらくドイツ全土でもっとも信頼がおけるもので、二つの主要な病院の報告により、9万5000人から13万人とされている。著者が生活していた中規模なアパート1棟で少なくとも12人程度の女性および少女がレイプされていることを考慮に入れれば、この数値は水増しされたものとは考えにくい。(序文)『ベルリン終戦日記 ある女性の記録』アントニー・ビーヴァー序文、ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー後記:山本浩司〈やまもと・ひろし〉訳