たとえばイタリアでは、フォークだけを使って食べる場合、空いているほうの手をテーブルの端に置いてすっかり見えるようにしておくのが正しいとされている。アメリカでは行儀が悪いと見なされるかもしれないが、そもそもこの習慣は、食卓の同席者に手を見せて、武器を持っていないことを示した時代に端を発するのである。(『フォークの歯はなぜ四本になったか 実用品の進化論』ヘンリー・ペトロスキー:忠平美幸〈ただひら・みゆき〉訳)