革新的だったのは、日本人は硬いがもろい高炭素鋼を、強靭だが軟らかい低炭素鋼と区別できたことだ。彼らは見た目と、手に持った感じと、たたいたときの音だけで判断していた。種類の違う鋼鉄をより分けることで、彼らは確実に低炭素鋼を刀の心金に用いることができた。それにより刀はたいへん強靭に、あるいはねばり強くなり、刀が戦(いくさ)で折れる可能性はほとんどなくなった。(『人類を変えた素晴らしき10の材料 その内なる宇宙を探険する』マーク・ミーオドヴニク:松井信彦訳)