その翌年の2011年の特殊教育学会は弘前で開催されました。弘前大学が準備を引き受けることとなり、「自閉症児・者の方言使用について――『自閉症はつがる弁をしゃべらない』との風聞の検討」というタイトルで準備委員会企画シンポジウムをおこないました。
 この準備委員会企画シンポジウムから、方言学者である弘前大学の佐藤和之先生に参加していただきました。佐藤先生からは、【自閉症者は方言を話さない】という現象について方言と共通語の使い分け行動と対人距離の関係など、方言の社会的側面からの役割が説明されました。この解釈こそがその後の私たちの理論的検討の方向性を決めることになります。
(『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』松本敏治〈まつもと・としはる〉)

自閉スペクトラム症(ASD)