さて、ペットボトルを石油から作り消費者の手元に届けるまでの石油の使用量は、ボトルの大きさにもよりますが約40グラムです。
ところが、このボトルをリサイクルしようとすると、かなり理想的にリサイクルが進んでも150グラム以上。(ママ)つまり、4倍近く石油を使うことになります。資源を節約するために行うリサイクルによって、かえって資源が多く使われるという典型的な例です。資源が多く使われるのですから、その分だけゴミも増えます。
もし「リサイクル率」を計算するときに、目の前にあるペットボトルだけの回収率ではなく、運搬する車や人の労力など、リサイクルに使うあらゆるものを計算に入れてリサイクル率を出せば、この矛盾はもっと早くわかったと思います。
(『リサイクル幻想』武田邦彦)