遅い昼食をとろうと腰をかけ、稼いだ金を数えているうちに、しだいに深い疑念にとらわれ始めた。それはいままで感じたことがなかったもの――恥辱だった。平気で嘘をつき、お世辞を言い、たぶん何でもしたにちがいない自分に愕然とした。明らかに、物を売ることは私にとって精神を腐敗させる元凶である。おそらく物を売るためには人殺しさえ厭わなかったかもしれない。私は概して堕落しやすく、そうであるからこそ誘惑を避けることを学ばねばならなかった。(『
エリック・ホッファー自伝 構想された真実』
エリック・ホッファー)