江戸の識字率は、世界でもまれに見るくらいの高さでした。江戸市内だったら、ひらがなに限っていえば、ほぼ100パーセントで、当時のロンドンやパリと比べても群を抜いています。
絵草紙(えぞうし)でもなんでも、漢字の脇に仮名が振ってあれば読めました。ただし、黙読ができないので、声に出して読まないと頭の中に入っていきません。
高札場(こうさつば)などに御触(おふ)れが立つと、集まった人々が各々声に出して読むので、輪唱のようになってしまいます。
貸本(かしほん)などでも、座敷の中でひとりが読んで、女性が出るところになると「じゃあ、女将(おかみ)。ここから読んでくれ」と、バトンタッチして、それをみんなが聞くというように4~5人で楽しみました。(『
お江戸でござる』
杉浦日向子監修、深笛義也構成)