強制収容所のような環境で、自殺ということがほとんど囚人の念頭にのぼることがないのは、ひとつには、自殺の前提となる最小限度の隣人の関心がまったく期待できないからであり、自殺者を犠牲者として、または自己の運命の予徴として見る視点が、完全に囚人から脱落しているためである。にもかかわらず、仮にもし、自殺という行為が囚人のあいだで起るとすれば、それはただある種の不用意によって起るにすぎない。(『望郷と海石原吉郎岡真理解説)

詩歌シベリア抑留