まるでアル中患者だ、と自分で思う。禁酒の誓いを立てたアル中患者は、酒に近づかなければいいのだと言い聞かせながら、酒屋まで車を走らせ、買わなければいいのだと言い聞かせながら店に入り、呑まなければいいのだと言い聞かせながら酒を買うという。
 そして、結局は買ってきた酒を飲む。
(『犬の力ドン・ウィンズロウ:東江一紀訳)