【歌】
形声。音符は哥(か)。字はまた謌(か)に作る。哥は■(可-口/木の枝の形で、杖)で■(サイ)(神への祈りの文である祝詞を入れる器)を殴(う)ち、その祈り願うことが実現するよう神にせまるの意味で、「可(べ)し」という命令と「可(よ)し」という許可の二つの意味を持っている。欠(けん)は立っている人が口を開いて叫んでいる形で、神にせまるとき、その神に祈る声にはリズムをつけて、歌うように祈ったのであろう。その声の調子を歌といい、「うたう、うた」の意味に用いる。国語の「うた」も「拍(う)つ、訴う」と関係があるように思われる。詩歌(歌をうたうこと)の詠は声を長くのばす歌い方。歌は強くせまるような歌い方であろう。歌謡(うた)の謡(謠)は「わざうた」(時事の風刺などを含むはやり歌)で、祭肉を供えて神にねだるように歌うことをいう。唱はみなでそろって勢いよく合唱するという歌い方である。
(『常用字解 第二版白川静

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