ところがここで、どうにも不可解な謎にぶつかる。それほど医療が大きく進歩しているなら、アメリカの精神障害者の数は、過去50年間で人口比で減少したはずだ。1988年にプロザックや他の第二世代の精神科治療薬が登場してからは、さらに減ったと期待していいところだ。障害者率は2段階で減少したはずである。ところが薬物療法革命が進むにつれて、アメリカの精神障害者の数は【劇的に増加】しているのである。しかもプロザックや他の第二世代の精神科治療薬の導入以来、一段とピッチを上げているのだ。何より憂うべきことに、この現代の疫病は今や子どもたちにまで広がっている。(『心の病の「流行」と精神科治療薬の真実』ロバート・ウィタカー:小野善郎監訳、門脇陽子、森田由美訳)
精神疾患