竹山は戦前も戦中も戦後も反専制主義の自由を尊ぶスタンスを一貫して変えなかった。それは竹山に知識と知力と自信と勇気があったからこそ可能だったのだと思う。戦時中には反軍部、反ヒトラーの見方を孤独な胸に秘めていたが、その見方が正しかったことが、戦後も反スターリン、反毛沢東という立場を、自信をもって、貫かせたのであろう。そしてそのために、日本の傾向的な論壇では竹山は時には「時流に反して」いかにも孤立した存在に見えた。しかしそれでも日本には竹山のような人の発言を許容する言論の自由はまがりなりにも存したのである。そしてそんな竹山を支持した寡黙な人々もいたのである。(『竹山道雄と昭和の時代平川祐弘

竹山道雄