ひろさちや●1232年(貞永元年)に「貞永式目」(正しくは「
御成敗式目」)が制定されると
養老律令が停止されてしまう。ですから、
法然上人、
親鸞聖人が島流しになったときは、まず僧籍を剥奪して、そして一般人に戻して流罪という刑罰を科しています。これは、僧にはいきなり国家権力は介入できない。教団は治外法権ですから。だから、一遍、僧を俗人に戻さないといけない。そうじゃないと処分できないわけですね。ところが「御成敗式目」以後はそうではない。
日蓮はいきなり「首切り」の処分を受ける。これは単に悪口を言った、治安を乱したというだけでの処刑ですね。ですから、養老律令に照らしての処分じゃない。ただ軍事政権が、戒厳令政府が勝手にやったものですね。(『
ものぐさ社会論 岸田秀対談集』
岸田秀)