だが、おそらく歴史的には、
リービヒ(※ドイツの化学者)の偉業よりも、初期の技術学校や『
百科全書』が行ったことのほうが重要だった。数千年にわたって発展してきたテクネ、すなわち秘伝としての技能が、初めて収集され、体系化され、公開された。技術学校や『百科全書』は、経験を知識に、徒弟制を教科書に、秘伝を方法論に、作業を知識に置き換えた。これこそ、やがてわれわれが
産業革命と呼ぶことになったもの、すなわち、技術によって世界的規模で引き起こされた社会と文明の転換の本質だった。(『
プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか』
P・F・ドラッカー:
上田惇生訳)