「復原をして、すっかり貧乏になりました」
と、屈託なく笑われる吉川(金次)さんの研究を、私は、文部省の研究費を受けて“研究”している大学人や研究所などのいわゆる専門家の研究なるものと、どうしても比較せざるをえなかった。研究費をもらうどころか、生活費をさいてまでつぎこんで、学問に役立つ研究が、下町の職人の家から生まれたのである。
(『森浩一対談集 古代技術の復権』森浩一)