戦争という危急の事態が、そうでなければ無名のままで終わったかもしれない多くの人々に、名声と評価をもたらした。勇気だけでなく――それは私たちがもうほとんど気にも留めなくなったほど一般化していたが――これまで潜んでいた、思いも掛けない才能や、天才までもが、まったく予期しなかった場所で、苦難の暗さをバックにして、明るいライトを浴びたのだった。(『ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯』クレア・キップス:梨木香歩訳)

スズメ