日本の源泉徴収制度は、課税当局から見ると大きなメリットがある。「源泉徴収義務者」という用語があるように、給与を給与所得者に支払う者は法律によって、源泉徴収分を差し引いた残額を給与として給与所得者に支払わなければならない。そして源泉徴収をした額は、原則として翌月10日までに税務署に納付する義務を負う。これは逆にいうと、当局は徴税にかかる必要なコストを源泉徴収義務者に背負わせているということでもある。(『タックス・イーター 消えていく税金志賀櫻