有本●この数年の間に、では何があったのか。2010年9月に、尖閣諸島の沖で、中国の漁船と称する船が、日本の海上保安庁の巡視船に体当りをするという事件がありました。あの時は、右も左もなくほぼすべての日本国民が中国に対して怒るとともに、日本政府の対応に憤りましたね。この事件をきっかけに、名古屋では、市井の人たちも、活動家ではない、商店街の女性店主といった方々までもが、中国総領事館による大規模な土地の買収に反対する運動を展開するようになりました。
さらに、尖閣諸島の国営化に伴って中国にある日系企業が焼き討ちされたり、小笠原等でのサンゴ密漁もあった。日本だけでなく南シナ海でもやりたい放題。のんびりしている日本人も、さすがに中国はとんでない国だということには気づいているわけです。
でも、見えない形での日中戦争がすでに始まっているという認識には至っていません。
(『リベラルの中国認識が日本を滅ぼす 日中関係とプロパガンダ』石平、有本香)