それは、ブッダ・ゴータマの最初の説法なるものが、通例の説法とはことなり、むしろ、討論、研究というにふさわしいものであったことを示している。ブッダ・ゴータマは、まず、かの「四つの命題」を語って彼らのまえにおいた。彼らは、それをめぐって、いく日もいく日も、討議し、研究した。そして、そのようないく日かののち、ついに5人のなかの1人、コーンダンニャ(憍陳如)なるものが、それを理解し、納得した。そのとき、ブッダ・ゴータマは、「コーンダンニャは悟った。コーンダンニャは悟った」と、声をあげて喜んだ。(『知恵と慈悲〈ブッダ〉 仏教の思想1』増谷文雄、梅原猛)
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