アメリカも大使館こそ移動していませんが、日本政府が避難区域を20キロとか30キロとかいっているあいだに、3月17日、ルース駐日大使は、福島原発から80キロ圏内のアメリカ市民は即座に避難するように勧告しています。同日、米軍も、横須賀の艦船や一部軍人、家族を安全地帯に移す「フェーズI」を発動、4ヵ月メンテナンスのため横須賀に停泊していた原子力空母ジョージ・ワシントンも米本土からきていた450名の技術者を乗せたまま、3月21日に出港、これを最後に横須賀から第7艦隊の11隻の艦船はすべて姿を消しました。
アメリカは「トモダチ作戦」と称する被災地救援オペレーションを行うといっていたので、これらの艦船は東北沖にでも向かったのかと思ったのですが、何のことはない。17日のうちに全部出航してフィリピン沖まで逃げてしまったのです。米韓合同演習のために来ていた空母ロナルド・レーガンが東北沖に姿を見せましたが、これも福島原発から125海里(230キロ)以内の海域には決して入りませんでした。これが日米同盟の実態です。
(『この国の権力中枢を握る者は誰か』菅沼光弘)