以上の二つの論説を通読すれば、当初アメリカのジャーナリズムが、日本の降伏を【有条件降伏】と理解し、連合軍の日本占領を【保障占領】と理解していたことは、あまりにも明瞭といわなければならない。
彼らは、日本全土が「聯合軍の侵攻を受けてをら」ず、日本軍が「完全に敗北してゐない」ことをよく知っていた。換言すれば、ポツダム宣言受諾から降伏文書調印までの半月余りのあいだ、この点についてのジャーナリズムのあいだにはほぼ共通の理解が存在していたのである。
(『忘れたことと忘れさせられたこと』江藤淳)
日本近代史